ヘリウムガスを吸引して意識障害になった事故

日本小児科学会は2015年5月学会雑誌に、今年の1月、12歳のアイドルタレントがテレビ番組の収録中にヘリウム入りのガススプレー缶を吸入して、意識障害に陥り脳空気塞栓症の疑いとなった事例について、事故の詳細やその後の経過を「Injury Alert(傷害情報)」として掲載しました。

学会の子どもの生活環境改善委員会は次のようなコメントを述べています。
コメディアンやタレント、一般人が面白おかしくヘリウムガス入りスプレー缶を使用することで、それを見ている子ども達がまねをして同様な事故が起こる可能性がある。
今回使用されたスプレー缶には「大人用」と表示されているが、幼児、学童に事故が発生していることを、小児科医を中心とした医療者が一般人や企業を啓発することで社会的に周知させる。
缶表面の表示を目立つようにする。成人にしか販売しない

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0053.pdf

HEART(H27年6月号):乳幼児とテレビ・ビデオ視聴の問題

医療情報誌ハートは、郡山市・須賀川市・本宮市の読売新聞福島民友に折り込まれています。

当院から医療のQ&Aを寄稿しています。

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HEARTH2706

 

朝起きられないー起立性調節障害について

とにかく朝なかなか起きられないし、やっと起きてもしばらくボーっとしていている。頭やお腹をよく痛がる。このような症状のお子さんはいませんか?これは、小学校高学年くらいから多くなる自律神経失調症の1つである起立性調節障害という病気の可能性があります。この病気は新学期が始まった春先から初夏にかけて発症することが多いのも特徴です。主な症状は立ちくらみですがそのほかの症状としては、朝なかなか起きられない、頭痛、腹痛、イライラする、授業に集中できない等があります。でもこれらの症状は午後には軽快することが多いのも特徴です。

病気のメカニズムはこうです。寝ていた状態から急に立ち上がると、体の血液は重力により下半身に集まろうとします。すると上半身、特に脳を流れる血液が不足し、めまい、つまり立ちくらみが出現します。そうならないように正常な人は、自律神経が働き下半身の血管を収縮させて脳を流れる血液の量を確保しているのですが、その機構がうまく働かない状態がこの病気です。急に体が大きくなってきたのに、その体を調節する自律神経がついていかない状態とも考えられ、大人の体になるための通り道ともいえます。

この病気は成長とともによくなることが多いので、そのまま様子を見てよいことが多いのですが、まずは現在の生活パターンを見直すことから始めましょう。夜寝るのが遅ければ当然十分な睡眠を確保することは出来ません。夜更かしはしていないか?寝る直前までゲームをしたり、インターネットをしていると脳が活性化された状態にあり、深い睡眠がとれません。

生活パターンを改善しても症状がよくならず日常生活や学校生活に支障をきたす場合は、血圧を上げる薬や抗不安薬などを服用することで症状が改善することもあります。

HEART(H27年2月号):感染性胃腸炎の注意点

医療情報誌ハートは、郡山市・須賀川市・本宮市の読売新聞福島民友に折り込まれています。

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27年2月号

かぜをひいたときのお風呂はどうしたらいいの?

日本人はお風呂が大好きです。夜お風呂に入って温まってからでないと眠れないという人も多いと思います。お風呂に入れないとなると大問題なのです。ですから「かぜをひいた時、お風呂はどうしたらいいでしょう」という質問をよく受けます。もっともそれ以前に、「かぜの時にお風呂に入るなんてもってのほか」だと信じている方も多いことと思います。

でも、かぜの時お風呂に入るとかぜは悪化してしまうのでしょうか?
これについて調べた医師がいます。かぜで受診した子を、入浴させた群とさせなかった群に分け、発熱の期間、食欲、咳鼻等の症状の変化を比較してみました。結果はどちらの群も変わりはなかったというものです。つまり、お風呂に入っても入らなくても、かぜの治り方に変わりはなかったという結論です。

入浴には体を洗って清潔に保つ意味だけではなく、お湯につかって体を温め、心をリフレッシュする効果も多分にあります。筋肉に対しては、緊張をほぐし、痛みをとる効果もあります。ですから、多少熱があってもお風呂に入るとゆっくり睡眠がとれ、体が楽になることもあります。
また、鼻がつまり気味のあかちゃんをお風呂に入れると鼻の通りがよくなり、ミルクの飲みがよくなったり機嫌よく寝てくれたりすることもあります。

ただ、入浴は体力をある程度消耗するので、高熱が続いている場合には避けた方が良いことは言うまでもありません。結局、多少熱があっても高熱ではなく、ある程度食欲や元気があれば、長湯をしない、湯冷めをしないように気をつければ、お風呂に入ってもかまわないと考えています。